交通事故の「非犯罪化」の傾向について(会報65号の誌上フォーラム 提言2より)

 当会は、毎年11月の世界道路交通被害者の日に「交通死傷ゼロへの提言・北海道フォーラム」を開催してきましたが、コロナ禍により2年続けての中止を余儀なくされました。
 しかし、2021年に予定していたテーマ、交通犯罪の刑罰に関しては、発足以来の重要課題ですので、会報第65号において、誌上フォーラム「交通犯罪の刑罰の軽さを問う」として特集しました。


誌上フォーラム:交通犯罪の刑事罰の軽さを問う


 このページでは、上記提言の中から、提言2:交通事故の「非犯罪化」の傾向について(弁護士 青野 渉)を掲載します。

※会報記事から本ウェブサイトページへの転載に当たっては、一部追加した図表などがあります。

交通事故の「非犯罪化」の傾向について

弁護士 青野 渉

1.刑事手続全体の流れ

【図1】刑事手続全体の流れ

【図1】刑事手続全体の流れ

 交通事故の刑事手続の流れは、上記のようになっています。

 まず、警察が人身事故を認知した場合には、過失運転致死傷罪(又は危険運転致死傷罪)の被疑事件として、捜査を行い、捜査の結果をまとめた書類を作成して、検察庁に送致します。

 次に、事件の送致を受けた検察庁は、補充的な捜査を行ったうえで被疑者を起訴するかどうかを決定します。検察庁が起訴した事件について、最後に、裁判所が判決で刑罰の内容を決めます。

 このように、刑事事件は、警察、検察、裁判所という公的機関が順次関与して進められます。近時、交通犯罪については、そのすべての段階で、原則として「犯罪として処罰しない。」傾向が強くなっています。

2.警察の段階

交通事故の負傷者に関する統計の状況

 【図1】のとおり、交通事故が発生し、その事故による負傷者がいる場合には、過失運転致傷罪の嫌疑がありますから、警察は、犯罪の捜査をしたうえで、検察庁に事件を送致します。
 他方、負傷者がいなければ物件事故(物損事故)ですので、犯罪捜査は不要です。

警察統計の「交通事故負傷者」と、自賠責保険統計の「傷害件数」が乖離

 統計データを見ると、実際に交通事故で負傷して病院で治療を受けている人数と、警察の統計で「交通事故負傷者」として公表される人数が、最近15年ほどで極端に乖離してきています(図2、図3)。

 2005年頃までは、交通事故で負傷し自賠責保険を使って治療を受けている人の数と、警察が公表する「交通事故負傷者」の数は、いずれも年間110万人前後の数で、概ね一致していました。その後、治療を受けている人数はさほど減っていないのに(2019年でも約100万人であり、2004年と比べて15%の減少)、警察が公表する「交通事故負傷者数」は激減しています(2019年には約46万人であり、2004年と比べて61%の激減)。

【図2】交通事故の死者数と負傷者数の二つの統計
年度 警察統計 自賠責保険統計
死亡者数 負傷者数 死亡件数 傷害件数
1997 9,642 958,925 10,197 1,036,979
1998 9,214 990,676 9,595 1,047,048
1999 9,012 1,050,399 9,413 1,093,628
2000 9,073 1,155,707 8,935 1,142,984
2001 8,757 1,181,039 8,456 1,175,778
2002 8,396 1,168,029 8,341 1,195,400
2003 7,768 1,181,681 7,866 1,206,408
2004 7,436 1,183,617 7,277 1,181,564
2005 6,937 1,157,113 6,807 1,179,664
2006 6,415 1,098,564 6,168 1,129,936
2007 5,796 1,034,652 6,029 1,156,333
2008 5,209 945,703 5,482 1,127,755
2009 4,979 911,215 5,128 1,117,373
2010 4,948 896,297 4,922 1,136,876
2011 4,691 854,613 4,777 1,155,536
2012 4,438 825,392 4,469 1,154,370
2013 4,388 781,492 4,125 1,185,334
2014 4,113 711,374 3,977 1,154,597
2015 4,117 666,023 3,639 1,157,070
2016 3,904 618,853 3,568 1,136,174
2017 3,694 580,850 3,481 1,119,111
2018 3,532 525,846 3,264 1,082,458
2019 3,215 461,775 3,173 1,006,272

※警察統計は「犯罪白書」より、自賠責保険統計は「自動車保険の概況」より。

【図3】交通事故の死者数と負傷者数の二つの統計のグラフ

【図3】交通事故の死者数と負傷者数の二つの統計のグラフ

※警察統計は「犯罪白書」より、自賠責保険統計は「自動車保険の概況」より。

人身事故なのに物件事故として処理されるケースが増えている

 実際には事故による負傷者がいても、診断書が警察に提出されなければ、交通事故による負傷者としてカウントされません。そして、最近の傾向としては、負傷の程度が軽かったり、被害者にも落ち度がある場合には、実際には人身事故なのに物件事故として処理されるケースが多くなっています。

 確かに、事故当事者の双方の言い分に食い違いがなく、被害者も軽症で相手の刑事処罰を望んでいないのであれば、杓子定規に、全ての交通事故を事件化しなくてもよいようにも思われます。

 ただし「人身事故にしない。」という処理をした場合には、以下のような問題があります。

人身事故なのに物件事故として処理した場合の問題点

法律違反の恐れ

 刑訴法246条は以下のように定めています。

司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、この法律に特別の定のある場合を除いては、速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。但し、検察官が指定した事件については、この限りでない。

 246条但書は「検察官が指定した事件」については、例外的に送致しないことができると定めていますが、過失運転致傷被疑事件は指定事件ではありません。したがって、法律論でいば、人身事故については、全て検察庁に送致しなければならず、送致しないことは違法です。

 全件送致主義は、事件の処分権限を法律専門家であり公益の代表者である検察官に集中させ、警察の行なった捜査の再点検をさせ、必要に応じ警察に対する捜査の指揮を行なわせる等により司法作用の適正を図ろうとする趣旨の規定です。したがって、捜査を担当した警察官が捜査の結果「犯罪の嫌疑がない」と判断したとしても、警察官限りの判断で処分を決めることはできず、事件を検察庁に送致する義務があります(条解刑事訴訟法・弘文堂・480頁)。

被害者にとってのデメリット

 近時、被害者と加害者の言い分が異なり被害者が全く納得していないケースや、かなりの重症事案でも、警察官が、診断書を受け取ることを拒否している例があります。私も、被害者が脳挫傷で長期入院している事案について、警察官が、頑なに「人身事故にしない」と被害者に説明していたケースを経験したことがあります。

 検察庁に事件が送致されない場合、「人身事故は存在しない」ことになりますので、検察官が起訴・不起訴の判断をすることもなく、したがって、被害者は、その処分に対して検察審査会に申立をすることもできません。
 また、検察庁に送致されない場合には、事件記録(警察官が作成した実況見分調書や現場写真)等も一切公開されないから、事故状況を解析する資料も全て入手不可能です。

統計の正確性の点での問題

 さらに、警察庁の発表する交通事故による死傷者数は、交通安全に関する政策決定の基本的な資料となっているので、不正確な負傷者数をもとに政策が決定されるという問題もあります(この点については、加藤久道「交通事故は本当に減っているか?」花伝社・2021年参照)。

参考記事

加藤久道著「交通事故は 本当に減っているのか? “20年間で 半減した”成果の真相」(花伝社)の刊行を受けて

参考リンク

改善方法

 警察の統計は、交通事故の負傷者数に関する唯一の公的統計資料であり、これが実態を反映していないことは、適切ではないと思われますので、以下のような改善をすべきと考えています。

事故の一方当事者が病院を受診して診断書を取得した場合「人身事故」として扱うべき

 まずは、事故の一方当事者が、病院を受診して診断書を取得した場合には、交通事故証明書上は「人身事故」と扱うことを徹底すべきです。これにより、交通事故に関する負傷者の唯一の公的統計の正確性が確保されますし、「人身事故」でもないのに、自賠責保険が支払われるという不可解な処理もなくなります。

刑訴法246条に基づく検察官の指定罪種に過失運転致傷を指定し、条件が揃えば送致しない扱いを公式に認めるべき

 他方で、警察の交通事故処理の負担を減らすためには、交通事故証明書に「人身事故」と記載することと、刑事事件(過失運転致傷罪)としての立件・送検は別問題とすべきと思います。
 具体的には、刑訴法246条に基づく検察官の指定罪種に過失運転致傷を指定し、以下のいずれも揃っている場合には、送致しない扱いを公式に認めるべきです。

  1. 負傷の程度が極めて軽いこと
  2. 当事者全員の事故状況に関する認識が一致していること
  3. 被害者が相手の刑事処分を望んでいないこと

 そして、このような処理をした場合でも、事故状況に関する簡単な報告書は作成し、当事者から要望があれば交通事故証明書と同様に、当事者に交付すべきです。
 また、上記の点は、後日、負傷者(被害者)の考えが変わった場合(最初は加害者が「きちんと治療費を払います。」と言っていたのに、それを反故にされたので処罰を希望するような場合)でも、きちんと診断書の提出を受けて過失運転致傷罪として送検すべきです。

3.検察庁の段階

 【図1】のとおり、検察庁は、警察から送致を受けた事件について、裁判所に加害者の処罰を求める「起訴」処分か、加害者の処罰を求めずに事件を終了させる「不起訴」処分か、いずれかの処分を決めます。「起訴処分」には、正式な裁判を求める「公判請求(正式起訴)」と、罰金刑を求める「略式起訴」があります。不起訴処分の場合には、刑事手続はそこで終了であり、加害者には事故に関する刑罰は科されないことになります。

起訴基準が変化し、従来は起訴していた事案が起訴されなくなっている

 前述したとおり、近年、警察では、人身事故のうち相当数を検察庁に送致しない処理をしています。その結果、検察庁に送検されるのは、加害者側の過失が重く、負傷の程度も重いものが多くなっています。そうであれば、起訴率(被疑事件のうち起訴された事件の比率)はかなり上がるはずです(送検されるものが悪質・重大なものに限定されて、送検の件数が半減しているのですから、起訴率は2倍となってもおかしくありません。)。

 ところが、最近の20年ほどの統計資料をみても(図4)、起訴される率は、その年に処分がなされた過失運転致死傷等の被疑事件(人身事故の被疑事件のうち、危険運転致死傷を除くもの)のうちの10%程度であり、特に変化はありません。
 この数値からすると、検察庁の起訴基準が徐々に変化して、従来は起訴していた事案を起訴しなくなっているのではないかとの疑問があります。

【図4】自動車による過失運転致死傷等に関する検察庁の処分(危険運転致死傷等は除く)
年次 既済 起訴率 起訴

不起訴
総数 起訴 不起訴 家裁送致

他の
検察庁に
送致等
中止 他の
検察庁
に送致
家庭
裁判所
に送致
公判
請求
略式
命令
請求
起訴
猶予
嫌疑
不十分


H14 966,015 101,940 8,688 93,252 736,791 720,702 14,219 1,870 127,284 771 85,054 41,459 12.2% 838,731
H15 978,779 99,906 9,105 90,801 758,644 742,780 14,010 1,854 120,229 790 79,657 39,782 11.6% 858,550
H16 980,464 97,220 8,964 88,256 771,509 755,768 13,846 1,895 111,735 742 73,021 37,972 11.2% 868,729
H17 962,872 92,031 8,365 83,666 767,452 752,156 13,514 1,782 103,389 624 67,564 35,201 10.7% 859,483
H18 922,412 85,830 7,861 77,969 743,637 729,340 12,640 1,657 92,945 458 60,368 32,119 10.3% 829,467
H19 857,454 77,120 7,136 69,984 700,991 686,397 13,090 1,504 79,343 460 48,756 30,127 9.9% 778,111
H20 777,888 70,011 6,917 63,094 641,534 627,887 12,285 1,362 66,343 450 40,042 25,851 9.8% 711,545
H21 756,187 67,631 6,753 60,878 626,623 612,663 12,720 1,240 61,933 346 37,147 24,440 9.7% 694,254
H22 739,229 64,387 6,156 58,231 615,509 601,251 12,975 1,283 59,333 254 36,122 22,957 9.5% 679,896
H23 708,138 60,450 5,870 54,580 592,608 578,176 13,136 1,296 55,080 251 33,129 21,700 9.3% 653,058
H24 679,153 58,771 5,665 53,106 566,807 552,092 13,412 1,303 53,575 213 32,428 20,934 9.4% 625,578
H25 648,604 56,647 5,267 51,380 541,010 527,056 12,847 1,107 50,947 229 30,455 20,263 9.5% 597,657
H26 591,761 55,429 5,544 49,885 488,149 474,777 12,304 1,068 48,183 243 29,366 18,574 10.2% 543,578
H27 556,356 54,008 5,834 48,174 457,133 444,285 11,866 982 45,215 210 28,259 16,746 10.6% 511,141
H28 514,388 51,321 5,494 45,827 421,059 408,872 11,187 1,000 42,008 177 26,091 15,740 10.9% 472,380
H29 487,477 49,595 5,307 44,288 397,691 385,418 11,319 954 40,191 143 25,951 14,097 11.1% 447,286
H30 445,981 47,625 5,267 42,358 361,364 349,642 10,837 885 36,992 164 24,726 12,102 11.6% 408,989
R1 392,945 44,805 4,806 39,999 316,255 305,808 9,619 828 31,885 112 21,923 9,850 12.4% 361,060

※検察統計の「最高検,高検及び地検管内別 自動車による過失致死傷等被疑事件の受理,既済及び未済の人員」のデータより。右記の起訴率は筆者作成
※「その他」とは「嫌疑なし」「罪とならず」「被疑者死亡」等である。
※「中止」とは犯人不明、被害者又は重要参考人の所在不明、海外旅行あるいは心神喪失、病気等により、これ以上捜査を継続することができず、かつ、当該捜査の障害となる理由が長期にわたり解消される見込みがないため、事件を長期間処理することができない場合で、中止の処分にした事件をいう。

4.裁判所の段階

 検察庁が起訴すると、裁判所が判決によって有罪・無罪及び刑の内容を決めます。
 略式起訴の場合には罰金刑が科されます。正式起訴(公判請求)の場合には、有罪であれば、禁固刑又は懲役刑が言い渡されます。禁固刑と懲役刑は、いずれも刑務所に収容する刑罰で、懲役刑の場合には刑務作業をする義務がありますが、禁固刑の場合にはそれがない、という違いがあります。
 ただし、禁固刑及び懲役刑については「執行猶予判決」がなされることが多く、執行猶予がついた場合には、刑務所に収容されることはなく、裁判所が定めた執行猶予期間(3~5年)、社会内で普通に生活していれば、刑務所に行くことはなく、刑事手続は終了します。
 執行猶予の判決は被害者や遺族からすると、加害者に刑罰が与えられたとは感じられません。

年々減少傾向にある実刑率

 前述したとおり、検察庁が公判請求する件数自体が、近時大きく減少しています。年間約100万件発生する人身事故のうち、公判請求される事件は5000件未満に過ぎず、公判請求される事件は、死亡事故や被害者に重度の後遺症が残ったような重大事件に限られています。それでも大半(約95%)は執行猶予判決となっており、実際に刑務所に収容されることは稀です。

 【図5】のとおり、令和元年において自動車運転処罰法の事件で有罪判決が出た事件4,709件のうち、実刑判決は、わずか257件です(約5.46%)。実刑になる率は近年、減少傾向にあります。
 過失運転致死罪(被害者が死亡している事件)に限定しても、実刑率は4.9%であり、日本では「死亡事故を起こしても、ほとんどの加害者は刑務所に行かない。」のです。

【図5】裁判の状況(令和2年版犯罪白書より)
罪名 実刑 執行猶予 総数 実刑率
過失運転致傷 130 2964 3094 4.2%
過失運転致死 62 1196 1258 4.9%
発覚免脱(致傷) 6 57 63 9.5%
発覚免脱(致死) 7 0 7 100.0%
危険運転致傷 40 235 275 14.5%
危険運転致死 12 0 12 100.0%
総合計 257 4452 4709 5.46%

※危険運転には、3条に若干軽い類型のものがある。
※過失運転致死傷には、改正前の自動車運転過失致死傷も含まれる。
※無免許加重の場合は罰条が異なるが、上記は全て合計した数値。

裁判所は国会の改正の趣旨とは反対に交通事故(人身事故)を「軽く扱う方向」に進んでいる

 2001年に危険運転致死傷罪が立法され、悪質な交通犯罪には10年を超える懲役刑が科されるケースもみられるようになり、報道だけを見ていると「昔よりも厳罰化されるようになった。」との印象があるかもしれません。
 しかし、統計上は、【図6】【図7】のとおり、2007年頃までは公判請求された被告人のうち15%程度が実刑となっていましたが、その後、年々低下し、近時は5%程度(危険運転を除くと4%台)という水準となっています。

 ちなみに、2007年には刑法の改正があり、被害者の声を受けて、過失による人身事故の刑罰の上限は5年から7年(1.4倍)に引き上げられています。つまり、裁判所は、国会(立法府)の改正の趣旨とは反対に、交通事故(人身事故)について「軽く扱う方向」に進んでいるといえます。

【図6】交通犯罪(人身事故。危険運転含む)の実刑率の推移
実刑 執行猶予 総数 実刑率
平成13年 1122 5472 6594 17.02%
平成14年 1268 6647 7915 16.02%
平成15年 1265 7561 8826 14.33%
平成16年 1202 7815 9017 13.33%
平成17年 1171 7190 8361 14.01%
平成18年 1160 6665 7825 14.82%
平成19年 1105 6134 7239 15.26%
平成20年 654 5374 6028 10.85%
平成21年 579 5180 5759 10.05%
平成22年 503 5100 5603 8.98%
平成23年 407 4886 5293 7.69%
平成24年 434 4745 5179 8.38%
平成25年 389 4492 4881 7.97%
平成26年 302 4459 4761 6.34%
平成27年 373 4938 5311 7.02%
平成28年 356 5025 5381 6.62%
平成29年 305 4866 5171 5.90%
平成30年 303 4731 5032 6.02%
令和元年 257 4452 4709 5.46%

※犯罪白書のデータより。

【図7】交通犯罪(人身事故、危険運転含む)の実刑率の推移のグラフ

【図7】交通犯罪(人身事故、危険運転含む)の実刑率の推移のグラフ

※犯罪白書のデータより。

5.交通事故の非犯罪化

 警察、検察、裁判所の手続を通じて感じるのは、交通ルールを軽視する人に対して、法を守らせる立場にある人(警察官、検察官、裁判官)が迎合しているのではないか、という点です。

 例えば、一般道の法定速度は時速60キロであり、国民には「一般道を70キロで走行する権利」はありません。他方、「こんな車の少ない道路で、制限速度を守るほうがおかしい。」という考えの人もいます。近時の非犯罪化・寛刑化は、こうした道交法の考え方を無視した身勝手な考え方に、法の番人のほうが迎合しているように感じることがあります。

以上

参考

「声なき声」の叫び「命の重みと被害ゼロへの刑罰を」(会報65号の誌上フォーラム 提言1より)

危険運転致死傷罪と過失運転致死傷罪の隙間(会報65号の誌上フォーラム 提言3より)