2020 交通犯罪被害者の尊厳と権利、被害根絶を求める要望活動
目次
関係省庁への要望書提出と回答
今年度も、8月に道選出の荒井聡参議院議員事務所を通して、内閣府、警察庁、国交省、法務省、厚労省宛に要望書を提出しました。
11月に各省庁より回答が届きましたので、前年回答からの変化部分など概要を記します。
〈法務省〉
4-1 昨年のいわゆる「あおり運転」に関する法改正~危険運転致死傷罪の対象行為が追加~について記され、「今後とも交通犯罪をめぐる情勢に応じて適切に対応する」との回答あり。
〈警察庁〉
4-3 全国重点に関する推進項目の一つとして「飲酒運転の防止」を掲げるとともに、アルコール依存症に関する広報啓発、酒類提供飲食店等と連携したハンドルキーパー運動の普及啓発など、今後も関係機関・団体等と連携した各種取組の推進を記載。
5-2 高齢運転者対策の充実・強化のため、令和2年道路交通法改正で、75歳以上で一定の違反歴のある高齢運転者に対する運転技能検査の導入等規定が整備された(令和4年6月までに施行)が、今後諸対策を効果的に推進し、高齢運転者事故防止を図る。
〈国交省〉
6-3 安全運転支援システムの活用により、交通事故を防止するため、
- ペダル踏み間違い時の加速抑制装置についての性能認定
- 衝突予防装置(衝突被害軽減ブレーキ)の段階的搭載義務付け(令和3年11月以降の新型車より)
- 非常停止装置(ドライバー異常時対応システム)のガイドライン策定
- 自動で速度制御を行う技術(ISA)のガイドライン策定
等の施策を講じている。また、自動運転技術に対する自動車ユーザーの過信を防止するため、啓発ビデオを作成公表する等の取組を進めている。
〈厚生労働省労働基準局監査課〉
6-5 自動車運転者の労働時間の改善のための基準については、働き方改革関連法の国会附帯決議において、見直しが指摘された。自動車運転者の実態を十分に把握し、検討を進める。
〈国交省自動車局 安全施策課〉
6-5 自家用自動車に過度に依存することのない、安全で快適な生活の実現は、大変重要な課題であると認識し、地域公共交通活性化再生法」において、市町村等が中心となりマスタープランを策定し、公共交通サービスの改善を図る取組促進の制度の充実を図った。こうした市町村等の取組に対し、財政面やノウハウ面の支援を行うとともに、過疎地域等における幹線バスやコミュニティバス等の運行に対し,国費による補助を行っている。引き続き,地域における移動手段の確保・充実を図り、自らの運転だけに頼らずに暮らせる社会の実現に努める。
参考リンク
道への要望書提出と回答
10月9日、道知事宛要望書提出を、前田代表、内藤、真島両副代表の3人で行い、新しい会員の悲惨な被害事例なども訴え、ゼロへの抜本施策を強く求めました。
強調した点は、2年前施行の被害者支援道条例に基づく、道内全ての市町村での支援制度拡充であり、5年前に制定された飲酒運転根絶条例の見直しであり、高速道路の速度規制緩和(一部区間を120キロ)を行わないこと、など11項目です。
要望書を受け取った築地原道環境生活部長は、鋭意取り組みますと検討を約し、大竹交通安全対策課長からは、各項目へのコメントがありました。
〈自治体での支援〉
札幌市で新たに経済的支援制度が導入された。引き続き広報啓発に努める。
〈飲酒運転根絶〉
今後とも道飲酒運転根絶推進協議会を開催するなど条例に基づく施策を推進する。
〈歩行者や自転車の安全〉
道内死者の4割が歩行・自転車中であり、極めて重要な課題と認識している。
〈車に依存しない生活〉
10月から、免許を自主返納した方が協力事業店舗に提示すれば特典が受けられる「高齢運転者運転免許自主返納サポート制度」を開始した。
参考リンク
「第11次交通安全基本計画」中間案への公聴会12月10日 内閣府
2019年の意見聴取会を経て起案された中間案についての公聴会が、オンラインで行われました。
中間案には私たちの要望意見の反映は少なく、前田が公述人として下記3項を中心に強く要望しました。
1 目標について
「交通事故のない社会」(死亡・重傷ゼロ)を「究極的には」でなく中期目標として示し、その過程としての目標値は上方修正すること
2 走行速度の抑制ついて
速度規制強化と、ISA(高度速度制御システム)の早期実用化などを明記すること
3 生活道路の歩行者保護と静穏化の徹底について
西欧の取り組みに学び、歩行者、自転車、子ども、高齢者の安全を守りきる道路と街路へ、「ゾーン30」「歩車分離信号」「自転車レーン」など、核となる施策の、早期普及徹底を明記すること
(会報63号より)