「遺影の中の彼は、笑っている」 虻田町 T.N
遺影の中の彼は、笑っている。私の好きな顔だ。でも・・・・・
黒い枠に囲まれたその笑顔は永遠に変わる事はない・・・・。
あの人がこの世から居なくなって1ヶ月が過ぎた。彼の突然の死を知って信じられない気持ちで、鳴らない携帯電話を眺め続けた。
私とは離れた街で暮らしている彼の死を、その時は受けとめられず、1日また1日と過ぎて、遊びに来るって言ってたゴールデンウィークを迎え、少しずつ彼の死が現実になりつつあった。
「また、絶対逢いたいから予定を決めて近いうちに電話する」という言葉を最後に、2日後に死んじゃうなんて・・・・・。
さみしいよ、苦しいよ、どうしてなの? 嘘つき。
父の四十九日を終えた週末、少しでも楽になりたくて彼に逢いにえりも町まで行ったけれど、私を迎えたのは、えりもの美しい景色と彼の死という現実。
彼の車が激突してすさまじい形に変形したガードレール。信じたくなくても信じない訳にはいかないんだね。
もっと逢って話したい事、沢山あったんだよ。
あなたが私に話せないでいた「あなたの過去」もあなたの口から聞きたかったよ。そして、私の事ももっと知ってほしかった。あなたを殺したスピードが憎いよ。あなたとの会話が途切れない様に申し込んだcdmaOneもうあんまり必要なくなっちゃった。15日20:41の着信履歴を消せる日、いつかくるのかな~。
「悲しみの色は、墨の色、いつか薄れて消えていく」でも、私の心の色は、今も真っ黒の色のままです。