「安心してネ、チーちゃん」 札幌市 亀田 美紀子

 「チーちゃん、お誕生日おめでとう」5月12日は、あなたの21回目のお誕生日ですね。あなたが生まれた日の幸せな気持ちで想い出しています。しかし、あなたがいなくなってしまってから今年で4回目の誕生日を迎えました。花を手向けることしか出来なくなってしまった今でも、生前と同じように、両親は花とケーキを用意し、妹のさやちゃんからも、あなた宛に、自分のお小遺いから用意したのでしょう、かわいいアレンジメントが届けられていました。いつもと変わらぬ、あなたを祝う想いが伝わって胸が痛くなります。

 朝、いってらっしゃいと送り出した娘がタ方には、冷たくなって帰宅することなど、誰が想像したでしょう。平成7年10月25日、当時高校2年生で、学校からの帰宅途中、前方不注意の車にひかれ、あなたは二度と元気な姿で帰って来ませんでした。
 あの日の悲しみを生涯忘れることは出来ません。冷たく冷たくなったあの白い口唇にお母さんが紅をさす。その姿が頭から離れないのです。

「お母さん、二度と呼ばない唇に
         母は、紅さす ふるえる指で」

 あの日から5年、今もあの日を想い出すと、涙がポロポロこぼれて来ます。いろいろな行事がある度毎に、辛く悲しい時間を過ごしてきました。
 あなたの成人式の晴れ着、さやちゃんが替わりとなって着てみてくれました。一瞬、あなたが帰って来たような気がするほど似ているんですよね、姉妹は・・・・。

「妹に重ね合わせし 晴れ姿
         今日は千尋の 成人の時」

 辛い想いを引きずりながらも懸命に生活しているあなたの家族の姿を伝えることが、そして、悲劇を繰り返さないでと訴える事が、叔母の私が、あなたにしてあげられるたった一つの事のような気がします。
 あなたが、亡くなった場所に今年も沢山の花が咲くでしょう。
 お父さんが、あなたの寂しくないようにと、その場所に花を植えているのです。

「愛し子の終の場所にと 花植える
         父の想いの コスモスゆれて」

 車社会となった昨今、全ての人々が、交通安全を心がけ、辛く悲しい想いをする人が一人でも減ってくれます事を祈ってやみません。どうか、どうか、悲劇を繰り返さないよう、突然、死に追いやられた人間の無念さ、その家族、周囲の人々の悲しみをハンドルを握る時、どうぞ、心の片隅に思い起こして下さい。

 チーちゃん、あなたの存在が大きすぎて、あなたの空白を埋めてやる事など出来ない自分たちではあるけれど、あなたの家族を微力ながら支え続けて行こうと思っています。安心してネ、チーちゃん。