2025/12/24 北海道知事宛「交通犯罪被害者の尊厳と権利、交通犯罪・事故根絶のための要望書」を提出。道からの説明もありました。

 2025年12月24日、道庁内の会議室にて行われた要望書手交と意見交換には、前田代表と真島、飯田両副代表が出席。道はくらし安全局から、谷内環境生活部長、西くらし安全局長、二瓶交通安全担当課長、小野寺課長補佐が対応しました。
 冒頭、谷内部長からは、命の教室の体験講話など会の活動への感謝を添えて、道としての被害根絶への決意が語られました。
 会からは、犯罪被害者等基本法に基づく身近な自治体における相談・支援の充実を求めているが、遅れていた市町村における特化条例制定が、2025年4月に札幌市を含む道内93自治体へと拡がった(2024年4月は51市町村でした)ことに励まされていること、11月のフォーラムに、昨年に続いて道から提言を頂くなど会の活動へ深いご理解を頂いていることに感謝するとともに、今も続く悲惨な被害根絶の願いを伝え、支援と死傷被害ゼロへの要望8項目を強く求めました。

今回新たに強調した項目

 なお要望8項目の中で、次の第6項は新たに強調した項目です。

6項 「・・・交通死傷被害が深刻な事態となる根本要因は、クルマ依存と、安全よりも高速走行を優先するスピード社会である。2026年9月実施の政令『生活道路の30キロ規制』を機に、通学路をはじめ居住地全域での、歩行者・自転車の安全を守りきる道路環境など、抜本的な交通静穏化策を総合的に進めること。頻発する交差点での歩行者、自転車等の被害を防ぐために、2025年1月に23年ぶりに改訂された「歩車分離式信号に関する指針」を契機に、歩車分離式信号への切り替えを速やかに全面的に進めること」

「交通犯罪被害者の尊厳と権利、交通犯罪・事故根絶のための要望書」

2025年12月24日

北海道知事
鈴木 直道 殿

北海道交通事故被害者の会
 代表 前田 敏章

交通犯罪被害者の尊厳と権利、交通犯罪・事故根絶のための要望書

 憲法は「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」(第13条)と「生命権」を銘記しています。しかし、交通犯罪・事故の犠牲者は、未だ深刻な事態が続き、北海道においても、2024年の死者数が104人(うち、歩行中36人、自転車中5人)、負傷者数が10,297人(うち、歩行中1,192人、自転車中1,227人)に及ぶなど甚大な被害です。
 他の事件に比べ、道路上での車両による死傷被害については、未だに犯罪という認識は薄く「事故だから仕方ない」「運が悪かった」と軽視され、被害ゼロへの抜本対策が不十分です。結果として多数の被害が続き、子どもや高齢者、歩行者、自転車の犠牲も後を絶たないという、人命軽視の麻痺した「クルマ優先社会」が続いています。
 交通犯罪によってかけがえのない家族を失う、あるいは後遺障害などにより人生を変えられるなど、深く傷つけられた私たち被害者のせめてもの願いは、尊い犠牲を無にせず、交通死傷ゼロの、真に命と人権が護られる社会がつくられることです。
 交通犯罪被害者の尊厳と権利を護り、現代の最大の人権侵害ともいうべき交通死傷被害を根絶するため、以下の事項について、抜本的・総合的な施策推進を要望致します。

Ⅰ 人身にかかわる交通事故が発生した場合の救命救急体制を万全にすること

  1.  医療活動のできる高規格の救急車(ドクターカー)および医療専用機(ドクターヘリ・ドクタージェット)を整備・配備して、人身にかかわる事故に対し、地域格差なく全ての人に迅速、適切な医療が施されるよう、一層の充実をはかること。
  2.  そのためにも、救急指定病院の拡大、指定外病院でも迅速な医療が施されるシステム、さらに遠隔地医療等の充実をはかること。

Ⅱ 被害者や遺族に対しては、①尊厳が護られる権利 ②知る権利 ③司法手続きに参加する権利 ④被害から回復する権利の4つの権利が厳格に擁護されるよう、必要な制度や行政上の措置を行うこと。

  1.  交通犯罪被害者など犯罪被害者が、被害直後から生活支援や精神的ケアなど必要な支援が途切れなく受けられるよう、2018年に施行された「北海道犯罪被害者支援条例」に基づき、自治体が行う支援制度の整備と機能充実を進めること。関係機関との連携協力を進め、道内全ての市町村で経済的支援を含めた必要な支援が受けられる体制をつくること。
  2.  被害者保護の観点からも、交通事故による高次脳機能障害や脳脊髄液減少症などを重大な後遺症として積極的に認定する制度改善を進めること。これらを含む後遺障害者の治療と生活保障を万全にすること。高次脳機能障害及び重度脊髄損傷の介護料支給対象を診断書による判断として拡大すること。遷延性意識障害者を介護する療護センターの充実をはかること。高次脳機能障害者の早期脳リハビリ施設の充実、及び後遺障害者が受傷から社会復帰まで一つの施設で一貫した支援が受けられる体制を整備すること。

Ⅲ 交通死傷被害ゼロをめざし、命と安全が最優先される社会を実現すること。

  1.  危険で悪質極まりない飲酒や薬物使用での死傷事件を根絶するために、事故の際の飲酒検査をより厳正に行い、血液検査も徹底すること。飲酒の違反者にはアルコール依存症検査を義務付けることや、「インターロック」(アルコールを検知すると発進できない装置)装着を義務化するなど、再犯防止を徹底すること。飲酒運転をさせない、許さないという、道民一人ひとりと行政・関係機関が一体となって取り組むことのできる実効ある総合的施策を推進すること。そのために、2015年に制定された北海道飲酒運転根絶条例についてはその推進とともに、飲酒運転摘発者に対する依存症検査や保健指導を徹底するために罰則を設けるなど必要な改正を行うこと。
  2.  交通死傷被害が深刻な事態となる根本要因は、クルマ依存と、安全よりも高速走行を優先するスピード社会である。2026年9月実施の政令「生活道路の30キロ規制」を機に、通学路をはじめ居住地全域での、歩行者・自転車の安全を守りきる道路環境など、抜本的な交通静穏化策を総合的に進めること。頻発する交差点での歩行者、自転車等の被害を防ぐために、2025年1月に23年ぶりに改訂された「歩車分離式信号に関する指針」を契機に、歩車分離式信号への切り替えを速やかに全面的に進めること。幹線道路での歩車分離を進め、自転車道・自転車レーンの整備を急ぐこと。ロードキルが原因の交通事故被害を根絶するために、高速道路における野生生物の侵入防止対策を万全にし、一般道路においては速度抑制を徹底すること。
  3.  死傷被害に直結する速度違反など危険運転を防止するために、そして積雪期における交通事故捜査の難しさを補うためにも、ドライブレコーダーの全車装着義務に向け、道独自に補助金を措置するなど具体策を講じること。
  4.  公的財政支出による公共交通機関網の整備拡大を図り、クルマ(とりわけ自家用車)に依存しない安全で快適な生活を実現すること。

以上

北海道交通事故被害者の会からの要望事項に対する道の説明(コメント)

 二瓶課長からは、各項目について、道の取り組みの現状など説明(コメント)がありました。

北海道交通事故被害者の会からの要望事項に対する説明(PDF)

参考記事

2025/9/9 関係省庁宛「交通犯罪被害者の尊厳と権利、交通犯罪・事故根絶のための要望書」を提出しました。

2025/10「交通犯罪被害者の尊厳と権利、交通犯罪・事故根絶のための要望書」へ関係各省庁から回答がありました。